怪談~呪いの絵~

怪談

※注意※

今回のお話は、一定の条件を満たすと実際に怪現象を引き起こす可能性があります。
何かありましても責任は負いかねますので、閲覧は自己責任でお願いいたします。


みなさんこんにちは。

今回はとある「絵」にまつわるお話です。冒頭でも触れましたが、この絵には“条件付き”で怪奇現象を引き起こすと言われています。
そのため、以下をお読みいただく際はどうかご注意ください。


「面白いものを手に入れたから見に来てよ。」

友人のKからそんな連絡を受けたのは一昨年の初夏。Kはいわゆる「呪物」の蒐集が趣味の人間で、怪奇物が好きな私でさえ「わけわからん」と思うようなものをどこからか仕入れてきては、思いついたように私に連絡をくれる人物でした。

「今度は何なの?」

という私の問いに

「絵。呪いの絵」

「呪いの絵」

三回観ると死ぬ絵、五回観ると死ぬ絵、一回でも観たら死ぬ絵。私は何回死ねばいいんだというくらい呪いの絵や画像というものを観てきた。どれもこれもただ単に「不気味である」というだけで「呪いの絵」に認定されてしまった可哀そうなものばかりだった。

どうせKの「呪いの絵」もただの不気味なだけの絵なんだろう。そう思った私は

「見せて~♪」

とノリノリで約束を取り付けた。

そして約束の日、Kは問題の絵の詳細を話してくれた。

Iさんのお話

2015年。

当時、解体業に従事していたIさんは、東北地方にある一軒家の解体を任されていた。

依頼主からは

「家の中に残っているものも、すべて処分してほしい」

との要望があり、Iさんはまず家財を運び出す作業から取ることにした。
その最中、処分対象の中に──一枚の絵画を見つけたのだった。

その絵がどうしても気になったIさんは、悪いとは思いつつ、会社に確認もせず持ち帰ってしまった。

当時Iさんは会社の上司から壮絶なパワハラを受けており、心身ともに衰弱状態にあったという。

単身者用アパートの狭い部屋に飾られた不釣り合いなその絵を前にIさんは、自身にパワハラを行っている上司に対して

「あの上司、〇んでくれねぇかな……」
「いっそ俺が〇してしまおうか?」
「明日会社に行ったら、急に辞めてたりしないかな」
「とにかく、俺の目の前から消えてくれ」

など悪態をつきながら酒をあおるのが日課になっていたのだった。


Iさんが絵を持ち帰ってから1ヶ月程経ったある日。Iさんにパワハラを行っていた上司が出社時間になっても会社に現れず、また電話も通じないということで社内が慌ただしくなっていた。

Iさん含む同僚2~3人が上司の家に向かおうかというところで、会社の電話が鳴る。

電話は上司が会社に向かう途中で事故に遭い、病院に搬送されたというものだった。

結局その上司は事故の後遺症で身体が不自由になり、会社を辞めざるを得なくなったという。

これだけならただの偶然では?と思うが、その後も

・Iさんに半ばストーカー気味に付き纏っていた近所の女性が、ある日を境にIさんを見ると怯えるようになりある日突然引越しをする。

・取引先の嫌いな社員が不倫騒動をきっかけに退職した。

・社内で有名な顧客のクレーマーが事件を起こし精神病院に入院した。

と、半年以内にIさんの前から姿を消してしまったのだ。

いずれもIさんが、あの絵を前にして『縁を切りたい』と強く願った相手だった。


Iさんにまつわる不可解な出来事は、それだけでは終わらなかった。

ある時、Iさんは父親と大喧嘩をしてしまった。
昔から折り合いの悪い親子だったが、その日はついに「絶縁だ」と口にしてしまうほど、激しい口論になったのだ。

怒りとやるせなさを抱えたまま帰宅したIさんは、例の絵を前にして酒をあおりながらこう呟いた。

「あんな親父なんか……もう俺の前から消えてくれ……」

その数日後。
Iさんのもとに一本の電話が入った。
父親が自宅で急死したという知らせだった。


もちろん、ただの偶然だったのかもしれない。
しかし──Iさんにとっては、それもまた「縁を切る」という願いが絵に届いた結果のように思えてならなかったのだった。

結局それ以降、Iさんはあの絵を直視できなくなり、実家の倉庫にしまい込んでしまった。


「よくある怪談話やんけ!」

と言う私にKは続けた

「俺もそう思うよ(笑)」

「それでこの後、Iさんは夢にうなされるんだ。間隔をあけて絵の人物が夢に出てきては、手に持っている糸をハサミで切っていくんだって。夢に出るたび糸の本数が少なくなっていって、最後の一本が切られた後、どうなるのか怖くなって絵を手放したんだってさ。」

一気に胡散臭くなった。怪談として出来過ぎている──起承転結が整いすぎているのだ。

「どっから手に入れたのよ?」

と聞くと

「知り合いから回ってきた。Iさんの現在は知らない。」

「とりあえず写真撮らせて。」

と言うと、既に絵をスキャンしたデータを用意してくれていた。

なるほど不気味ではある。だが結局『単にそういう雰囲気で描いた絵』に過ぎないと思った。

絵のタイトルは「Disiuncta」

ラテン語で「切り離されたもの」とかそんな意味のようだ。

製作者の名前は「A. L⸺」

と途中でかすれて読めなくなっていた。

「縁切りの絵」

Iさんの身に起こった事はまさに縁切りだったわけである。Iさんにとって悪い縁も、父親との血の繋がった縁もこの絵が切り捨ててしまったのだろうか。

帰り際、Kはサラッと言っていた。

「使い方によっては最高の呪いだよな。」

縁切りの絵はKの「趣味の部屋」ではなく寝室に飾られている。

呪いの真偽はともかく、そもそもこの絵を気に入っているようだ。

お願いだからその絵の前で私との縁切りを願わないでほしい。

Kは今も元気だ。

この先閲覧注意

最後に問題の「縁切りの絵」を載せようと思う。観ただけで何か起こることはないと思うが閲覧は自己責任でお願いしたい。

何かあっても当ブログは一切の責任を負わないのでそのおつもりで。

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それではさようなら。

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